門脈体循環シャント(門脈体循環短絡症)
肝臓を中心とした主な血流には以下の2系統があります。
門脈体循環シャントとはこれらの血管のうち門脈と呼ばれる血管が途中で枝分かれし、血液が肝臓を通らずに大静脈へと流れこんでしまう病気です。
多くは先天性ですが重度の肝疾患により後天性に起こることもあります。
この病気では肝臓への栄養が不足して肝臓の発育不全が起こったり、肝臓が毒素を除去することができない症状がみられます。
【おもな症状】
1. 消化器症状(嘔吐・下痢など)
2. 神経症状(よだれが多い・発作・痴呆症状など)
3. 発育不全(体が小さい)や体重減少
4. 毛艶が悪くなる
など
【好発品種】
肝外シャント(肝臓の外で血管が枝分かれしている)はヨークシャーテリア・ミニチュアシュナウザー・マルチーズ・ミニチュアダックスフント等の小型犬と猫で多く、肝内シャント(肝臓の中で血管が枝分かれしている)はレトリバー・アイリッシュセター・アイリッシュウルフハウンド等の大型犬に多いと言われています。
【診断】
1. 造影CT 検査(血管へ造影剤を投与し撮影することにより異常な血管を描出します)
2. 血液検査
血中タンパク質・尿素窒素等の低下、肝酵素の軽度上昇、高アンモニア血症、総胆汁酸値の上昇など
3. X 線検査・肉眼所見(開腹手術による異常血管や肝臓の確認・造影検査)
【治療】
多くは外科手術で異常な血管を閉じることにより治療します。
手術を行うことが出来ない場合は内科療法として食事療法や薬物療法を行います。