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壊死性髄膜脳炎(パグ脳炎)

壊死性髄膜脳炎とは、以前パグに良くみられる脳炎ということで「パグ脳炎」と呼ばれていた病気です。現在ではマルチーズ、ヨークシャー・テリア等パグ以外の特定の犬種にも発生することが分かってきました。

原因は、はっきりとは分かっておらず、また確実な治療法はありません。発症すると症状は徐々にまたは急速に進行していき、治療の効果が見られなければ数週間〜数ヶ月で死に至ることもある恐ろしい病気です。

【おもな症状】

1. けいれん
2. 起立困難
3. 旋回、斜頚
4. 盲目
5. 昏睡 など
* いずれの症状も他の脳疾患でもみられるので症状だけで診断はできません。

【好発品種】

パグ、シーズー、マルチーズ、ヨークシャー・テリア、ペキニーズ、チワワ、フレンチブルドック 
など

【診断】

症状や脳脊髄液(CSF)検査、MRI 検査での画像所見から仮診断を行います。
確定診断は病理検査や死後解剖でしかできません。

【治療】

一般的に効果的な治療法はなく、経過はあまりよくありません。
ただし抗痙攣薬、抗炎症薬、免疫抑制剤(ステロイド剤等)を使用するなどの対症療法が有効な場合もあります。

【MRI画像 〜正常〜】

【画像診断】
①T2強調画像・矢状断像
②T2強調画像・横断像
脳溝(脳のしわ)や脳室内等の液体成分は白く見えます。
灰白質(皮質)はやや白っぽく見えます。
白質(髄質)はやや暗めに見えます。

③T1強調画像・横断像
T2強調画像で白く見えていた液体成分は黒く見えます。

④フレアー画像・横断像
脳の実質はT2強調画像と同様に見えますが、液体成分だけは黒く見えます。

【MRI画像 〜症例1 パグ 2歳 オス 〜】

①T2強調画像/フレアー画像・横断像

②T2強調画像/フレアー画像・横断像

③T1強調画像・横断像

□□□症例1□□□ 
パグ 2歳 オス  
<主訴>けいれん、歩様ふらつき、左眼・視力消失、左旋回

【画像診断】
①②
右大脳の表層部分の病変部が白く見えます。フレアー画像では病変部がより明瞭にみられています。

病変部はやや黒っぽく見えます。

【MRI画像 〜症例2 ヨークシャー・テリア 10歳 メス 〜】

① T2強調画像・横断像

② T1強調画像•横断像

③ フレアー画像•横断像

□□□症例2□□□
ヨークシャー・テリア 10歳 メス
<主訴>けいれん、視力消失

【画像診断】
① T2強調画像・横断像
側脳室と病変部が隣接しているので境界がはっきりと判りません。
② T1強調画像•横断像
液体成分は黒く見え、病変部はやや黒く見えます。
③ フレアー画像•横断像
側脳室と病変の境界がはっきり判り、病変部がより見えやすくなります(矢頭)。
矢印の所では黒く見え、組織が死んで脱落していると考えられます。