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水頭症

脳の中には脳室という部屋がいくつか存在します。この脳室の中は脳脊髄液という液体で満たされています。
水頭症は、脳室内の脳脊髄液(*1)が過剰に貯留したため、脳室(*2)が正常よりも大きくなってしまった状態をいいます。

生まれつきの場合(先天性)となんらかの病気が原因でおこる場合(後天性・二次性)とがあり、脳室拡張の程度は軽度から重度まで様々です。

主な脳室をイラストに示しました。(これ以外にもあります)→
脳室は互いに連絡していて、その中を脳脊髄液が循環しています。脳脊髄液は絶えず生産と吸収が行われているので、どこかで流れが悪くなると、どんどんたまっていきます。

* 1 脳脊髄液:脳室内や脳・脊髄の周囲にある液体。産生と排出(吸収)を行いながら川の流れのように絶えず循環している。
* 2 脳室:脳内にある脳脊髄液で満たされた小部屋。大きく分けて4つあり、それぞれの脳室はつながっている。(側脳室・第三脳室・中脳水道・第四脳室など)

【おもな症状】

<先天性>
原因:不明。特定の犬種に多く見られることから遺伝の可能性。
症状:体格が小さい  てんかん症状
ドーム状の大きな頭  斜視(腹外側斜視)
トイレなどのしつけができない  痴呆のような症状
活動の低下  視力障害(失明) など

<後天性>
原因:①脳脊髄液の循環障害(脳脊髄液の流れがせき止められる)
②脳脊髄液の過剰産生あるいは吸収不全
→脳腫瘍や脳炎、脳の奇形など
症状:原因となる病気による症状が主となる。(例:意識低下、発作など)

【好発品種】

チワワ、ミニチュア・ダックスフント、マルチーズ、トイ・プードル、
ボストンテリア、シーズー、ヨークシャテリア、ポメラニアンなど

*先天性の水頭症は小型犬や短頭種といわれる犬種に多くみられ、大型犬や猫でみられることは珍しいです。

【診断】

診断方法
1,超音波検査(エコー検査)
2,レントゲン検査
3,CT検査
4,MRI検査

いろいろな検査方法がありますが、いちばん簡単にできる方法がエコー検査です。
またレントゲン検査は分からないことがほとんどです。
もっとも正確な方法が、CT検査かMRI検査です。

【治療】

【正常な脳】

白く見えているのが 脳室です。 脳全体の大きさと比べ、正常な大きさです。 (VB値=10%)※1

【中程度】

上の正常な脳と比べると、脳室が大きくなっているのが 分かります。 (VB値=19.5%)※1

【重度】

さらに、脳室が大きくなっているのが分かります。 (VB値=35.1%)※1

【重度】

もっとも拡大している例です。 側脳室が重度に拡大した  結果、まわりの脳が薄くなっているのが分かります。 (VB値=84.6%)※1

※1 VB値:脳の大きさに対して、側脳室がどのくらいの大きさなのか
割合で示したもの。

VB値(%)=側脳室の高さ÷脳全体の高さ×100

【画像診断のポイント】