会員ログイン

脊髄軟化症

□脊髄軟化症とは、脊髄が壊死・融解する病気で、急性の脊髄損傷(交通事故など)や椎間板ヘルニアなどにより発症し、椎間板ヘルニアの犬の3〜6%に発生すると言われています。

□脊髄軟化症は進行性の病気で、効果的な治療法はなく、発症した場合早ければ2・3日、遅くても7 日以内に死亡すると言われている大変恐ろしい病気です。

=== 原因 ===
椎間板ヘルニアや交通事故、高所からの落下など、脊髄の強い衝撃が引金となります。
脊髄が圧迫されることで脊髄に不可逆性の壊死が起きる場合があり、脊髄軟化症は脊髄実質の壊死が急性に前後にひろがっていく病気です。

【おもな症状】

椎間板ヘルニアに伴って発症することが多く、下記のような症状がみられます。
1. 突然、後足が立てなくなる(後肢麻痺)。←椎間板ヘルニアを疑う
2. 徐々に前足の動きもおかしくなってきた。←進行性を疑う
3. 前足、後足とも動かず、寝たきりの状態(四肢麻痺)。
4. 呼吸が苦しそう。

【好発品種】

椎間板ヘルニアに伴って発症することが多いので、好発犬種も椎間板ヘルニアと同じです。ただし、これら以外の犬種でも発症することはあります。
==============================
□好発犬種□
M.ダックスフント、シーズー
フレンチ・ブルドッグ、ビーグル
など
==============================

【診断】

MRI 検査と神経学的検査*1・症状などから診断します。
*1 神経麻痺の程度などを調べる為の検査で、特別な器具や麻酔の必要がない検査です。

===“確定診断”はできません===
残念ながら脊髄軟化症は生前の確定診断ができません。
MRI 検査での異常所見と症状や経過(進行しているかどうか)などから脊髄軟化症の可能性があるか判断し、その後の治療計画をたてます。

【治療】

効果的な治療法はありません。
※外科手術などで脊髄圧迫を取り除いても、脊髄の壊死が改善されるわけではありません。
壊死の進行を止めたり遅らせたりするような効果的な治療方法がないのが現状です

【MRI検査画像 ー正常時・脊髄ー】

“形”と“色”に注目
形:横から見た画像では、ほぼ同じ太さにみえます
色:脊髄は濃い灰色に見えます。輪切りの画像では周りを白い線が囲んで  います。

【MRI検査画像 ーM.ダックスフント 4歳 メスー】

主訴:昨日から突然、後足がたたない 

*横から見た画像では、◯のところの脊髄がつぶれて見えます(椎間板ヘルニア)
▲のところの脊髄の色が、正常と比べ、白く 見えます(脊髄の壊死)。

【画像診断】