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馬尾症候群

腰から尾の辺りの背骨の中には、細い神経が複数存在しています。
この神経は、頭から続く太い脊髄が枝分かれしたもので、見た目が馬のしっぽの様に見える事から馬尾神経と呼ばれています。
馬尾症候群とは、馬尾神経や周囲の血管が圧迫されることで、様々な症状を起こす病態の総称です。
正式には変性性腰仙部狭窄症といいます。

【おもな症状】

どの神経が障害されるかにより、症状は様々です。
初めは腰部やしっぽを挙げた時に痛みが出たり、座る事や階段の上り下りがゆっくりになることもあります。
症状が進行すると、後ろ足のふらつきや尿漏れ、排便障害が見られる事もあります。後ろ足を曲げずに歩こうとする場合が多いですが、逆に足を挙げる子もいます。

【好発品種】

大型犬の中年齢以降で多く見られますが、小型犬や猫での報告もあり、特にプードルは小型犬の好発犬種とされています。
また、メスよりオスの方が多くみられ、体重や運動量などにも影響を受けるのではないかといわれています。

【診断】

馬尾症候群の原因や要因は様々なため、画像診断だけでも多くの方法が行われています。
まずは、通常のレントゲン検査で腫瘍や奇形など、主に骨の異常を確認し、その後負荷をかけての撮影や、造影剤を用いた撮影を行うこともあります。
最近はCTやMRIといった高度機器が発達し、早期に診断できるケースが増えました。
馬尾神経の画像診断について検証した報告でも、CTやMRIは優れた検査として紹介されています。しかし、実際には症状と画像所見が相関しない事もあり、どんな検査でも100%の感受性・特異性はないとされています。

【治療】

原因、症状、経過、様々な検査の結果から総合的な判断で、保存的な運動制限や内科療法を行うのか、外科手術を行うのかを決定していきます。外科手術の方法も様々で、画像診断をもとに適切な方法を選択します。

【MRI画像】

<足を伸ばした姿勢:T2強調画像>

【MRI画像】

<足を曲げた姿勢(神経の圧迫が改善されている):T2強調画像>