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骨肉腫

骨肉腫はイヌにおける骨腫瘍の中で最も良く認められ、中〜老齢の大型犬に多く見られます。
四肢の骨格(手首・肩・膝・など)に出来やすいと言われています。進行が早く、転移しやすい恐ろしい腫瘍の一つです。

=== 原因 ===
他の腫瘍と同様に、明らかな原因は不明ですが、過去に骨折したり、放射線治療を行った子に発症することがあり、骨への負担が原因の一つではないかと疑われています。

【おもな症状】

1. 病変部の腫れ・痛み
2. 跛行
3. 病変部位の骨折(病的骨折)
4. 脊椎や頭蓋骨に発生すると麻痺やケイレン等の神経症状 など
*腫瘍の発生部位により様々です。

【好発品種】

ゴールデン・レトリバー、ラブラドール・レトリバー、ジャーマン・シェパード、グレート・ピレニーズ などの大型犬

【診断】

1. CT・レントゲン検査
骨に融解・増殖等の異常がないかを調べます。また肺に転移しやすいため胸部の
検査も行います。
2. MRI 検査
脊椎や頭蓋骨など神経組織付近の骨に病変が見られた時には神経組織への広がりを確認します。
3. バイオプシー(病理組織検査)
病変部に針を刺して細胞を調べます。

【治療】

1. 外科手術
2. 化学療法(抗がん剤)
3. 放射線療法
4. 上記治療法の併用
(外科手術+化学療法 など)

【MRI・CT画像 〜症例1 フラットコーテッド・レトリバー 11歳 オス〜】

矢状断像 左後肢

冠状断像(左後肢)

===症例1===
フラットコーテッド・レトリバー 11歳 オス 
<主訴>左後肢跛行、その2日後同肢骨折

【画像診断結果】
・病変部(ピンク矢印)では骨が溶けてなくなっており、骨折(病的骨折)しています。またその周りには骨増殖(白いモヤモヤ)もみられます。
・病変部周囲は腫れています。

【MRI・CT画像 〜症例2 ラブラドール・レトリバー 7歳 オス〜】

横断像

矢状断像

冠状断像

3D像

===症例2===
ラブラドール・レトリバー 7歳 オス 
<主訴>2週間前に下顎の腫脹に気づく

【画像診断結果=骨条件=】
・右側の下顎骨の一部が左側と比べて薄く、不鮮明に見えます(骨融解:ピンク矢印)。
またその周りには白くモヤモヤしたものが見えます(骨増殖:黄色矢印)。

・3D画像でも、右の下顎骨の骨融解が確認でき、臼歯の根元が見えてしまっています。