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キャミックメールマガジンVol.35(2024年5月号)

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キャミックメールマガジンVol.35
\\2024年5月号//
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▼目次▼
【1】医療コラム「似ているけど似ていない四肢麻痺と片側麻痺」
【2】キャミックからのご案内

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┃【1】医療コラム
┃ 「似ているけど似ていない四肢麻痺と片側麻痺〜チワワ編〜」
https://camic.jp/column/35_202405/
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犬というのはとても面白い動物です。大きさ一つとっても1kgから100kgまで。人間による改良の結果とはいえ、全てオオカミから派生したとは思えないほどのバリエーションです。今回はその中で世界最小の犬 “チワワ” を特集します。

チワワの起源を調べると諸説出てきますが、2013年KTH Royal Institute of Technologyの進化遺伝学研究者のSavolainen氏のグループ(スウェーデン)から、正式な遺伝子の報告が出ています。

“It was especially exciting to find that the Mexican breed, Chihuahua, shared a DNA type uniquely with Mexican pre-Columbian samples,” he says. “This gives conclusive evidence for the Mexican ancestry of the Chihuahua.”
「メキシコ産犬種であるチワワは、先コロンブス期のメキシコのイヌのDNAサンプルと同じDNAタイプを持っている。チワワがメキシコに起源を持つという決定的な証拠になるでしょう。」

チワワの起源がメキシコだと遺伝子で判明したそうです。遺伝子尊い!
ちなみにアメリカンケンネルクラブ に最初に登録されたチワワは、ベッピーという名の男の子で、1908 年だそうです。参照:AKC
小さく誇り高き彼らは古くから世界中で愛されていたというわけです。

<メキシコ プエブラ州,チョルラピラミッドにて チワワに似た犬 参照:Australin dog lover

さてそんなチワワですが、神経疾患が非常に多く、当社でのMRI検査件数は2020年以降毎年不動の第2位*です。

*1位はミニチュア・ダックスフントかトイ・プードルがしのぎを削っています*

今回は数ある神経症状の中で、「四肢麻痺」と「片側麻痺」について比較し、さらに“急性”か“慢性”についても同時に見てみようと思います。

※“急性”は1週間以内、“慢性”は1週間以上としています。※

まずは主訴に着目したいと思います。2021年〜2023年に当社でMRI検査を行ったチワワ、全1,242頭の主訴内訳は以下の通りでした。

全般性・焦点性けいれん発作が圧倒的に多く、40%程度を占めていました。

「四肢麻痺」は116症例(9%)、「片側麻痺」は65症例(7%)で全体の4位・5位を占めていました。面白いのは対麻痺より多かったことですね。

次に責任病変が頭部だったのか頚部だったのかに着目しました。病変が頭部なのか頚部なのかで、気をつけることも緊張感も異なります。そうすると興味深い結果が出ました。

「四肢麻痺」の場合は急性・慢性に関わらず、7割以上で頚部に原因がありましたが、「片側麻痺」では急性で約4割、慢性では約5割の症例で頭部に原因がありました。

運動機能の調整はとても複雑です。最初に四肢の感覚が脊髄を通って脳に伝達され、身体の各部位の位置関係を認識し、その情報は脳幹〜大脳皮質まで様々なシナプスを介しながら伝達されます。そしてまた別の指令が運動器へと滞りなく伝わっていくことで、スムーズに協調された動きが可能となります。

この経路のどこかに異常があれば四肢に障害が出ますが、特にチワワの“慢性”「片側麻痺」では、頭部疾患を五分五分で懸念する必要があるということです。

続いて疾患の内訳を見ていきます。
「四肢麻痺」では急性でも慢性でも、最も多い疾患は椎間板ヘルニアで、どちらも約半数を占めていました。ちなみにチワワはⅡ型の頚部椎間板ヘルニアが多い印象です。

次に多かったのは、急性が環軸不安定症、慢性ではMUO(起源不明髄膜脳脊髄炎)・脊髄空洞症/中心管拡張症でした。これはチワワならでは!

このようにチワワの急性「四肢麻痺」では椎間板ヘルニアの他に環軸関節不安定症が鑑別に上がりますので、MRI検査の前の頚部レントゲンは必須です。ちなみに環軸関節のレントゲン画像では少しのローテーションで脱臼している様に見え、以外と判断が難しいですが、軸椎・歯突起の有無はスッキリ決まる所見です。

では「片側麻痺」は?
「片側麻痺」の原因は急性と慢性で違いました。急性は脊髄梗塞が多く、次いで椎間板ヘルニアでした。脊髄梗塞か?椎間板ヘルニアか?で治療は全く逆になります。特に脊髄梗塞を急性期で診断できるかどうかは神経障害の回復に大きく関わってきますので、診断を急ぎたいところです。
慢性の「片側麻痺」では、なんと起源不明髄膜脳脊髄炎(MUO)が4割も占めて1位でした。これもチワワならではかもしれませんが、もしもMUOだったらとにかく治療を早く開始したい!MUOは一度治療を開始してしまうと正確な診断までに時間を要することもあります。もちろん患者さんの状態が最優先ですが、治療前のMRI検査がお勧めです。

2番目に多かったのは椎間板ヘルニアですが、なんとその後の3位・4位がいずれも腫瘍という結果になったのも特徴的です。

今回このデータをまとめてみて、「四肢麻痺」と「片側麻痺」は似て非なる症状だということを実感しました。また“急性“か”慢性“かによっても違いがあることが分かりました。

例えば、急性「片側麻痺」では治療方法が真逆になる脊髄梗塞/椎間板ヘルニアが上位を占めていたこと。また慢性「片側麻痺」ではMUOが多く頭部疾患を鑑別に入れる必要があるということも分かりました。

神経疾患は病変が複数あることも多く、そのため症状が混在することもよくあり、MRI検査をどのタイミングでするべきか悩むこともあると思います。私たちもできるだけ近々でご案内できる様に頑張りますので、飼い主さんへ早期の検査を提案してみて下さい。

自立心の強い小さな巨人は、先天的な脳や骨格の奇形、非感染性脳炎が非常に多い犬種です。彼らの犬生が長く健やかである為に、正しく早急な診断を!(自分に言い聞かせる一言)

執筆:画像診断本部 学術担当 青木 琴代(獣医師)

▽過去のコラムを見る

https://camic.jp/column/

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MRI・CT検査を実施する前に、主治医さまに行なって頂く内容についてSTEP01からSTEP05までHPで解説しております。

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疑っている疾患・症状・何をお知りになりたいのか・今後どのような治療をお考えなのかをお伺いし、最適な検査をご提案いたします。
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動物検診センターキャミックでは、てんかん発作に対するMRI検査の有用性について、飼い主さまにも理解を深めて頂くために、日本獣医生命科学大学・当センター学術顧問でもございます長谷川大輔教授のご協力により、てんかん発作啓発パンフレット「犬猫のてんかん発作とMRI検査のはなし」を作成いたしました。

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