医療コラム
MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。
MRI基礎知識〜T2*強調画像〜
T2*強調画像について
T2*(T2スター)強調画像は、グラジエントエコー(gradient echo/GRE)画像とも呼ばれ、出血性病変の検出に特異的な撮像方法です。
T2*強調画像は組織間のT2の差やヘモジデリンによる磁場の不均一性を描出し、周囲実質よりも低信号(黒くなる)に認められるのが特徴です。
臨床的には出血を強調する画像となり、通常のT2強調画像やCT画像で特定しにくい微小出血なども強調・誇張して描出されます。
しかし、今までのコラムでご紹介してきた従来の撮像方法と比較して外部磁場の影響を受けるため、石灰化・flow voidとの鑑別、骨・金属等によるアーティファクトには注意が必要です。
症例紹介
【症例1】血腫
【症例】M・ダックスフント 10歳 避妊雌
【主訴】4日前より震え、意識低下、その後ヘッドプレス、徘徊
【画像所見〔1回目MRI〕】
左側・側脳室前角付近に結節性病変を認める【赤色矢頭】。
病変は不均一な信号強度を呈し、T2*強調画像で低信号、T2強調画像/FLAIR画像で低〜高信号、T1強調画像でも高信号域を多く含む。造影剤による増強は主に辺縁で軽度に認められる。
※出血後3-10日(急性期)では、T1強調画像で高信号を示すことが報告されています。
↓ ↓ ↓
【画像所見 2回目MRI(7ヶ月後)】
側脳室前角付近に認めた結節性病変は顕著に縮小している【桃色矢頭】。
※徘徊やヘッドプレスは消失し、意識状態も正常となりました。
症例紹介
【症例2】微小出血
【症例】M.D 13歳 避妊雌
【主訴】クッシング症候群、けいれん発作
【画像所見】
下垂体腫大【黄色丸】と共に偶発的にT2*強調画像で低信号を呈する微小所見を認める【赤色矢頭】。
※T2強調画像で認められる小さな点状の低信号所見がT2*強調画像では明瞭・誇張されて描出されているのが分かります。