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療コラム

MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。

2024年の挑戦とその結果

執筆:画像診断本部 学術担当 青木 琴代(獣医師)

今年も残すところあとわずかとなりました。
皆様にとって2024年はどんな年だったでしょうか?年末年始なんて関係ないと思いながら、12月になると1年を振り返って来年の目標も立ててしまう典型的な日本人です。
さて今回のコラムは、今年私が行った2つの挑戦についてお伝えしたいと思います。

城南MRI装置リニューアル

まず1つ目は 城南のMRIリニューアル です。
キャミックにとって最後の低磁場だった城南のMRIを最新機種に変更しました。

こんな一文では表せない大変な事業ですが、百聞は一見にしかず

 

 

素敵でしょう〜 自画自賛してすみません。あまりに良い機械で!
しかしこのMRI、まだまだ余力を残していますので更に設定を詰め、来年には100%の力を発揮できるように頑張ります!!

 

【関連記事】
▽新MRI装置導入への道〜選定編 https://camic.jp/column/38_202408/

▽新MRI装置導入への道〜決定と調整編〜 https://camic.jp/column/39_202408/

▽新しいMRI装置についてはこちらから https://camic.jp/news/202406jyounan/

2024 ACVR Annual Scientific Conference

そして2つ目は ~ 2024 ACVR Annual Scientific Conference ~

 

今年10月終わりから11月初めにアメリカ、バージニア州のノーフォークで行われた画像診断学会に参加して、「猫の後頭骨〜頚椎の先天的な骨格奇形」について発表してきました。全然英語話せませんよ、私。ただ頑張るだけです(笑)。導いてくれたのはパデュー大学の村上先生です。

 

珍しい疾患で12年分のデータをまとめました。主治医の先生には古いデータを掘り起こして予後を教えていただきまして、本当にありがとうございます。また、データ保存がしっかりしていることが当社のいいところだと私は感じていますが、そこを遺憾なく発揮した発表でした。歴代の先輩方にも感謝です。

 

【関連記事】
▽【発表報告】2024 ACVR Scientific Conference  https://camic.jp/news/acvr2024/

【学会発表報告】猫の後頭骨〜頚椎の先天的な骨格奇形

〜後頭骨環椎軸椎奇形 OAAM の猫25頭のCTとMRIについて Abstract〜

研究背景

 

疾患概要:
OAAM は猫における稀な先天性疾患で、神経学的障害を引き起こす可能性がある

 

目的:
猫の OAAM に関する CT と MRI 画像の特徴を記述し神経学的症状や予後との関連を検討する

 

方法

対象:
2011年1月から2023年12月までに診断された25匹の猫

 

評価方法:
2名の画像診断医が CT および MRI を評価。神経学的症状と予後を記録

 

結果

症状:
慢性経過64% 異常な歩行92% 症状の改善または消失60%

 

CT 所見:
歯突起の異常68% 後頭部の奇形44% C1椎体の低形成56% 環椎後頭関節異常:52%

 

MRI 所見:
脊髄圧迫62.5% 脊髄内 T2W 高信号58.3% 脊髄の Kinking54.2%
脳梗塞疑い4頭 脊髄空洞症1頭

 

治療と予後:
内科的管理72.2% → 良好な結果66.7%
脊髄内 T2W 高信号症例:重度かつ持続する神経学的症状が多い

 

結論と考察

特徴的所見:
C1 の低形成および C1-C2 の背側脊髄圧迫が猫に特有。他の種と類似点はあるが、これらの所見が特に一般的

 

神経学的症状:
軽度で内科治療に良好に反応。
脊髄内 T2W 高信号例では重度かつ持続性の可能性が高い

 

臨床的意義:
多様な画像評価は OAAM 診断において非常に重要
MRI による詳細な評価が予後予測に寄与する。

猫の後頭骨〜頚椎の奇形はすごく複雑です。バリエーションも多彩すぎて、正直お手上げ状態ですが、意外と症状が軽いのが特徴です。

 

多くの人のサポートを経て、沢山用意して、それでも心配なことや小さなトラブル(搭乗ギリギリでチケット無くしたりin NewYork、ペンを買ってみたら6,000円の高級ペンだったり)はありましたが、めちゃめちゃ楽しかったです。やってみるって大事ですね。
さて、来年は何をしようかな。そろそろ始動せねば。

 

今年も主治医の先生には大変お世話になりました。至らない事も、助けていただいた事も沢山ありますが、先生方のより良い診断のパートナーとなれる様、来年も頑張りたいと思います。