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療コラム

MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。

CT基礎知識〜副腎2〜

執筆:キャミック城南 原 (獣医師)

CT基礎知識〜副腎2〜

今回のコラムでは、比較的遭遇しやすい副腎病変をご紹介したいと思います。

まず始めに、正常な副腎のCT画像についてです。

副腎の正常画像所見

犬の副腎は双葉状で、左右でやや異なる形態をしています。

また腎臓の頭側かつ内側、大動脈より分岐した腹腔動脈/前腸間膜動脈〜すぐ尾側レベルに位置しています。(詳しい解剖は前回のコラム参照)。

 

正常な副腎のCT値は約35HU(2248HU)、造影剤により動脈相で強い増強を認め、その後減衰していきます。その為、病変を見つける際は動脈相での評価が大切です。

副腎の異常画像所見

次に異常な画像所見についてです。

結節や石灰化の有無、萎縮・腫大などの変形、また脈管浸潤などを検索します。

 

結節や変形が見られた場合、過形成や副腎皮質腺腫/腺癌、褐色細胞腫、転移性腫瘍が鑑別に上がります。画像上これらを分ける際、病変の大きさはとても重要です。

 

副腎の長軸は動物の体格により変動し、大きさを判断する場合は前極/後極の各々短軸(点線)を測定します。副腎に結節性病変を含む場合、また全体として腫大している場合も、短軸方向を測定し、以下の基準を参考とします。

 

さらに、石灰化や血管浸潤(腫瘍栓形成)、原発病変の有無などと併せて評価します。

たとえば、石灰化は腺癌で見られることが多いです。猫では正常でも石灰化を伴うことがあります。また、褐色細胞腫ではまれに石灰化が見られます。

血管浸潤においては、前回のコラムでも出ましたが、褐色細胞腫で多く見られます。腺癌でも稀に見られることがあり、腺腫ではほとんど認められません。

症例紹介

今回は3つの副腎腫瘍について、画像的特徴を比較したいと思います。

ぜひ、一度検討してみてください。

【症例1】

雑種犬 12歳 去勢雄 体重20kg

左副腎後極に2.1cmの結節形成

石灰化なし

脈管浸潤なし

【症例2】

ビーグル 14歳 去勢雄 11.5kg

左副腎後極が約6.7×5.2×4.5cm(体軸×横軸×高さ)の腫瘤形成

石灰化あり

脈管浸潤なし

【症例3】

ノーフォークテリア 4歳 避妊メス 4.6kg

左副腎後極は0.6cmと大きさ正常だが、動脈相で限局した造影増強あり

石灰化なし

脈管浸潤なし

脾臓/肝臓にも腫瘤性病変あり

 

 

 

 

 

 

□■□答え□■□

 

 

【症例1】副腎腺腫:2.0cmを超えていましたが腺腫でした。

【症例2】副腎腺癌

【症例3】血管肉腫の転移:脾臓と左副腎が摘出され共に血管肉種でした。