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療コラム

MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。

意外と少ない?猫のCT/MRI検査

執筆:画像診断本部 本部長 伊藤 泰毅(獣医師)

日本ペットフード協会発表の資料では、2014年を境に犬と猫の飼育頭数が逆転し、猫の飼育頭数の方が多くなったそうです。

これは犬の飼育頭数が減少しているからで、昨年2022年は犬:7,053,000頭、猫:8,837,000頭だそうです(ちなみに猫の飼育頭数は微増だそうです)。

 

一方、当社で検査した犬猫の割合は、直近10年で犬:80~90%、猫:10~20%と圧倒的に犬の方が多いのですが、少しずつ猫の比率が増え、10年前と比べ倍以上になりました(棒グラフ)。

 

とはいえ、このグラフを見ても分かる通り、猫の検査数、ちょっと少な過ぎると思いませんか?
なぜでしょうか? 「猫は小さな犬じゃない」と昔から言われているように、犬と猫では発症する病気が違うから(=CT/MRI検査を必要とする病気が少ない)。または、初診時ですでに状態が悪いから(=麻酔検査ができる状態じゃない)。あるいは、検査を提案しても料金を理由に断られるなどでしょうか。

 

その答えが見つかればいいなと思い、当社で検査した猫のデータをまとめてみました。今回のデータは2021年に検査に来た猫のうち500頭を主訴別にまとめたものです。

CT /MRI 検査の内訳

最初にCT検査とMRI検査の比率は、CT検査49%)、

MRI検査43%)、CT・MRIセット検査(8%)であまり偏りはありませんでした。

 

主訴

次にCT検査/MRI検査の主訴(目的)です。

 

ご周知の通り「CT検査=内臓・骨疾患」「MRI検査=神経疾患」ですので結果は表のようになります。ちなみに鼻腔内病変についてはMRI検査を推奨している検査機関・病院等もありますが、当社では鼻汁・鼻出血・鼻閉塞などが主訴の場合は「頭部CT検査+病理検査(採材)」を勧めております。

 

 

この十数年でCT検査/MRI検査は必要不可欠な診断ツールとなり、最近では検査をしやすい環境にもなっているので上位にランクされている症状についてはすでにCT検査/MRI検査を前向きに検討されていると思います。

 

一方で下位にランクされている症状についてはCT検査/MRI検査をあまり意識していない先生もいるかも知れません。

例えば、「眼圧が高い・眼球突出」では病変の位置(眼球内外)、範囲(鼻腔内や頭蓋内への浸潤)などを精査できます。

あるいは「血尿・水腎症」では尿路結石の有無や数・大きさ・位置などを調べることができ、いずれも手術の可否判断や手術計画を立てるためには有効だと思います。

実際には超音波検査やレントゲン検査で診断可能な場合もあるので絶対にCT検査/MRI検査が必要というわけではありませんが、もしあまり意識していなかったという先生がいましたら今後は選択肢の一つに加えてみてはいかがでしょうか。

 

他には「停留睾丸」の位置特定(腹腔内か皮下か)や、避妊手術後の発情兆候(異所性卵巣)などでもCT検査を行うことがあります。

また「鼻腔内病変」は最も多くCT検査を行なっており、占拠性病変の有無はもちろん、鼻咽頭狭窄鼻咽頭ポリープの有無なども調べることができますが、特にこのような上部気道を閉塞させる恐れのある疾患では、麻酔リスクが低いうちに(呼吸状態が悪化する前に)早期の検査をお勧めします。

いろいろと調べてみても結局、猫の検査数が犬と比べ少ない理由は分かりませんでした。猫は犬よりも病気になりにくいのでしょうか?それとも、様々な理由でCT/MRI検査が必要なのにできない症例が多くいるのでしょうか??

真相は不明ですが、もしもCT/MRI検査をすることで救える命があるなら一つでも多く助けたいと常々思っています。

 

今回は猫のCT/MRI検査についてご紹介しましたが、これらはほんの一例で犬も含めまだまだいろいろな利用方法があります。

 

例えば、胸管造影CT検査関節MRI検査など、様々なCT/MRI機器の利用を検討し実施しています(まだ症例数は多くないので診断に苦慮することもあります)。また麻酔リスクが高い症例についても無麻酔CT検査という選択肢が増えましたので積極的な利用をご検討ください。

 

CT/MRI検査を行うのは必ずしも「こういう症例のみです」というわけではありません。今回ご紹介したような使い方もありますので一度CT検査/MRI検査を検討してみてください。
何か不明な点があればいつでもご相談ください。スタッフ一同心よりお待ちしております。