医療コラム
MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。
【創業20周年 特別連載コラム〜第2回〜】関節のMRI
関節のMRI
ようやく秋めいてきましたね。好きな季節です。
さっそくですが、今回の創業20周年記念コラムでは、高磁場MRIになって発展した関節のMRIの中でも特に膝関節のMRIについてお伝えしようと思います。
関節MRIは人では一般的ですが、動物では撮影すべきシークエンスも統一されていません。
でも驚くほどよく見えるんです! 解剖通りに!(当たり前 笑)
当社が初めて膝関節の撮影をしたのは2010年で1症例、次が2011年に1症例です。残念ながら当時は低磁場MRIでしたので、“とりあえずやってみた”感が拭えません。
1.5TMRIを導入した後の2015~2017年に3症例ほど、いずれも大型犬を撮影いたしましたが、なかなか診断に苦慮しました。2016年6月からは3.0TMRIをひがし東京に導入してから本格的に関節の撮影を行ってきました。大型犬だけでなく小型犬も多数撮影させてもらいました。
まずは
プロトン密度強調画像PD(Proton Density Weighted Image)
関節の要はプロトン密度強調画像です。MR画像のコントラストはT1緩和時間・T2緩和時間・プロトン密度の3要素できまります。PD画像はプロトン(H原子核)=組織の水素密度の違いをもっとも純粋に反映した画像です。
正常な靱帯はPD画像で真っ黒です。

【正常 動画】
▲【MR画像】前十字靱帯
▲【MR画像】後十字靭帯と半月板
どうでしょう、靭帯や半月板、脂肪体や骨梁まで非常に明瞭に見えませんか?解剖をそのままに映し出してくれます。
次は前十字断裂症例です。

次は特化した異常を検出する画像たちを
STIR (Short Tau Inversion Recovery)
脂肪抑制法の一つで、関節液貯留や前十字靭帯断裂に伴う周囲滑膜炎、骨髄病変を反映してくれます。
これは前十字靭帯断裂に伴う、滑膜炎で関節液が貯留している様子です。
顕著な高信号が関節液、その外側のモヤっとした高信号が滑膜炎(滑膜肥厚や炎症性変化)を示しています。

T2*強調画像
(前回のコラム参照)
前回のコラムでは出血の検出に有用という話を書きましたが、実は関節軟骨の損傷を反映してくれます。実際にはT2*WIの磁化率をもっと強めた磁化率強調画像というものを使用しています。
半月板損傷症例です。正常な半月板はT2*WIで低信号です。

Barrett et al.2009年,JSAP(犬の膝関節損傷におけるMRI所見:18症例)や2024年低磁場MRIでは、MRIの半月板損傷の検出率が非常に高いと報告されています。よく内容を見ると平均体重が30kg台 デカいな~笑。
なかなか日本のペット事情にはマッチしない部分もあります。
10kg以上であればわかる印象がありますが、小型犬は難しいです。大型犬でも最大5mmほどしかない構造ですので、3D撮影で最大検出率を目指します!
最後に前十字靭帯断裂かと思いきや違ったけど診断がついた症例紹介です
症例紹介
<症例>
小型Mix dog 6ヶ月齢 3.0kg
<主訴>
1mほどの高さより落下、直後から左後肢挙上

さてさてなんでしょう?
前十字靭帯も後十字靭帯も正常に見えます。
膝蓋下脂肪体はどうでしょう?脛骨側の脂肪体が不整ですね。
脛骨骨端は???

というわけでCTです。

脛骨粗面は8〜11ヶ月齢で閉鎖するため(大型犬・超大型犬ではもっと遅いです)、本症例もまだ成長板が確認できます。
CTでは左側/脛骨粗面に微小な骨片を認め、脛骨粗面の骨化核と近位脛骨骨端核にもズレが生じています。脛骨粗面の剥離骨折でした。