会員ログイン

療コラム

MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。

【創業20周年 特別連載コラム〜第3回〜】3D 撮像×AI がもたらす新時代の獣医画像診断

執筆:画像診断本部 学術担当 ⻘⽊ 琴代(獣医師)

少し肌寒い朝と夜が季節の移り変わりを感じさせてくれます。⾷べたいもの、飲みたいお酒が多すぎる季節ですが、そんな中、12⽉13⽇(⼟)、14⽇(⽇)に⼤阪で画像診断学会が⾏われます。今回はなかなかセンセーショナルなテーマです。 

『獣医療で Ai(オートプシーイメージング)は普及するのか?』 

まだ私⾃⾝も⽴場を明確にしていませんので、⾏かないわけにはいきません。 後⽇動画配信もあるみたいですので、ご興味のある⽅はご覧ください。

▶︎「第77回 日本獣医画像診断学会」詳細はこちらから(当社も企業展示ブースを出展いたします。)

 

さて、今回の20周年記念コラムのテーマは、⾼磁場MRIになった後、何年もかけて徐々に 発展してきた3D撮影についてです。

この話をするにあたって、MRIをどのように撮像・設定しているのか?というところを少しだけ。

MRI 撮像の基礎

MRI 検査では動物をMR機器の中にセッティングしたら、まず最初に本撮像前のLocalizerという仮撮像をします。撮像者にとっての⽬的は“解剖学的位置を把握する”ですが、この時MR機器は、磁場中⼼の確認、磁場均⼀を⾏うための磁場分布を推定、本撮像で送信するパルスのキャリブレーション、歪みの推定などたくさんの情報を得ています。 

当社では⿇酔リスクを早期に判断したいので、T2ベースでLocalizerを出しています。

この画像を元に、厚さ何mmのスライスをどれくらいの間隔で何枚撮像するか決めます。
枚数や条件により撮影時間はどんどん⻑くなります。緊急症例は撮像者の腕の見せ所!

この緑四角の範囲で、緑線の位置を撮像したい

このような画像ができます。

T2強調画像

 
1枚のスライスにたくさん情報(プロトン)がある方がいいですが、厚すぎると隣の情報も一緒になって出てきます。例えば白と黑の2つの情報が隣り合っている場合、これらを跨ぐスライスは合わせてグレーと表示されてしまう訳です。また、スライスとスライスの間(隙間)はデータが抜けてしまうので、理想は“薄いスライスを狭い間隔で撮る”ですが、これが時間的にも技術的にも結構難しいんですよね。

3D撮像の登場とその特徴

これを一気に解決してくれる撮像方法が3D撮像です!(やっと本題 汗)
非常に薄いスライス(1mm 以下)を連続で撮像できます。またCTの様に任意方向に再構成もできます(ちょっと歪む撮像もありますが)。体積データを扱えるという利点もあります。
 
3D撮像は2012年埼玉に搭載した1.5T MRIから始まりました。当時はT1強調画像しかなく、時間も⻑かったので、絶対必要!という時にのみ使用していましたが、2016年ひがし東京に導入した3T MRIでは、頭部撮像は全て3D T1強調画像を撮像することにしました。また、T2強調画像やFLAIR画像、T2*強調画像や PD(プロトン)強調画像でも3D撮像が可能となりました。さらにその後、3D撮影にもAI機能を付与できるように発展し、今日では3D撮像をしない日は無くなりました。音が違うので、隣の部屋にいても、今3D撮っているのね、と分かりますよ。

 

3D T1強調画像 1mm×136枚

 

T1強調画像 2mm×24枚

 

これが同じ範囲を撮像している3Dと通常のAX画像です。
それぞれにいいところがありますが、詳細な解剖を知るには3Dは必須です!

 


 
見て、この滑らかなMPR!(書いてて興奮しちゃいます 笑)
 

3D T2強調画像 1mm×136枚

 


T2強調画像 2mm×24枚

 

2DのT2WIの方が綺麗ですが、3Dでしかわからない微少な所見【ピンク矢頭】があります。この症例は中脳〜延髄の多発の急性梗塞です。

では最後に実際の症例をいくつか紹介したいと思います。

 

症例紹介(1)

特発性顔面神経麻痺

〈症例 〉ボーダー・コリー 10歳
〈主訴〉2週間前より右顔面下垂などの顔面神経麻痺

症例紹介(2)

猫瀰漫性メラノーマ

〈症例 〉Mix cat 8 歳
〈主訴〉徐々に虹彩が黑くなってきた

症例紹介(3)

眼型 GME(肉芽腫性髄膜脳脊髄炎 MUO)

〈症例 〉ダックス・フント 6 歳
〈主訴〉3週間前から視力低下の可能性、1週間前より視力消失

 

実際はもっとたくさんの症例で使用しており、予想外の時こそ頼りになる撮像方法です。
以前の低磁場MRIや 1.5T MRIも3D撮像には非常に時間がかかり、画質もイマイチ。。。
数年前からDeep learning(AI)が搭載できる様になってからは時間や画質が改善し、一気になくてはならないものとなり、診断の幅が格段に広がりました。
3Dがなかった頃は、撮像をしながら異常部位を探し、仮診断をし、そして麻酔を見ながら検査を行っていました(超マルチタスク。。。)
3D撮像がルーチンに行えるようになった今では、3Dさえ撮っておけば、仮に撮像中に異常部位を見逃していたとしても、後でしっかりと診断はできるので、撮像中のストレスは軽減されました。
獣医療の中でAIの恩恵を一番受けているのは、MRI じゃないかなと日々感じています。
AIは心配な事もたくさんありますし、何も知らずに使うのは危険ですが、間違いなく診断精度を上げてくれる頼もしいパートナーだと個人的には感謝しています。
AI:artificial intelligenceとAi:autopucy imagingって紛らわしいですね。