医療コラム
MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。
【創業20周年 特別連載コラム〜第1回〜】T2*強調画像(T2*WI)とは?
T2*強調画像(T2*WI)とは?
2005年、当社は中古医療機器の有効活用というアイデアから生まれたベンチャー企業としてスタートし、今年で20年目を迎えることができました。日本でベンチャー企業が10年存続する確率は約6.3%、20年存続する確率は0.3%だそうです。スタートから、少しずつ少しずつ歩み続けた諸先輩方には尊敬と感謝しかありません!!
→創業20周年の歩みをまとめた特設WEBサイトを開設しました。こちらもぜひご覧ください。
彼らの役割を引き継ぎ始めたのが2016年のひがし東京の引越しの時からです。念願の3T MRI導入!私も若かったので生意気なことも言ったり、譲れない戦いを繰り広げたり、今ではいい思い出です(笑
そこから9年間、当社の技術が歩み留まらぬように、獣医療の進歩に遅れないよう、ずっと自分自身を追い込んできた様に思います。
今後も、主治医の先生方の一助となれる様に今までと同じく進化していくことをお約束したいと思います。
ちなみに現在当社で導入しているのは全て新品の機器です。
さて、今回のコラムからは20周年記念企画として、この10年間における技術の進歩をシリーズ形式でご紹介していきたいと思います。
最初にご紹介するのは「T2*強調画像(T2*WI)」です。
2012年1月、当社にとって初めての高磁場MRIがキャミック埼玉に導入された後、血腫の診断に重要だという情報もあり、2013年から徐々にT2*WIの撮影を開始しました。もともと低磁場MRIでも撮影はできたのですが、当時はその重要性を理解できておらず、撮影することはありませんでした。今では頭部MRI検査では日常的に行っているシーケンスの一つです。
T2*WIは“ティーツースター強調画像”と読みます。最も知られているT2強調画像(T2WI)と磁化率効果の両方を反映した画像で、GRE法(gradient echo)が用いられます。GREは磁場強度に激しく依存しますので高磁場のT2*WIは驚くべき鮮明さでした!
磁化率効果って??
物質ごとの「磁場の引きつけやすさの違い」によって、局所的に磁場が乱れることです。
MRIは非常に均一な強磁場を使っていますが、体内の鉄(出血)・カルシウム・空気・金属など、磁場への反応性(磁化率)が違う物質があると、その周囲の磁場が乱れます。この乱れによりプロトン信号が消え、MR画像では低信号を示します。
これを応用し、T2*WIは出血の評価において優れた検出感度を発揮します。
磁化率効果が強く出る代表的な物質は?
• 脱酸化(デオキシ)ヘモグロビン(acute phase)
• メトヘモグロビン(subacute phase)
• ヘモジデリン(chronic phase)
• カルシウムや空気、金属異物
上記は全て、T2*WIで低信号(黒)として描出されます。
これがどう病気に関係するか?
出血する(血管外へ出ると)とヘモグロビンはオキシヘモグロビン→デオキシHb→メトHb→へモジデリンと変化します。T2WI/T1WIを併せることで、まずは出血であることを、次に出血した時期を予測する事が可能となります。
では実際の症例を紹介したいと思います。
症例紹介(1)
〈症例 〉Mix dog 12歳 避妊雌
〈主訴〉5日前に初発発作→重積発作 その後も徘徊やトイレの失敗など行動異常あり
MR画像所見
症例紹介(2)
〈症例 〉T.プードル 12歳
〈主訴〉着地に失敗し頭部を殴打
症例紹介(3)
〈症例 〉T.プードル 1歳
〈主訴〉台から落下
症例紹介(4)
〈症例 〉チワワ 12歳
〈主訴〉3ヶ月前に心臓血管肉腫の診断、痙攣発作
MR画像所見
脳実質全域に血管肉腫の転移を疑う
いかがでしたでしょうか?
脳実質血腫だけでなく、色々な出血診断に使っています。また時期がある程度絞れるので、急な神経症状の原因として妥当かどうかの判断に重要な役割を果たします。
さて次回は、膝関節のMRIについて、現在の状況をお伝えしたいと思います。実はT2*強調画像もつかっているんです。







