医療コラム
MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。
【創業20周年 特別連載コラム〜第4回〜】無麻酔 CT
CT 検査の移り変わり
今から約 20 年前、動物医療において CT が今ほど一般的ではなかった時代、CT 検査といえば、全身麻酔で動物を寝かせ、数十秒間呼吸を停止し撮影を行っていました。しかも、三相造影(動脈相・門脈相・平衡相)を行う際には、kV(管電圧)・mAs(管電流×時間)・ローテーションタイム(管球回転時間)・スライス厚・撮影範囲を動物の体格に応じて変更するなど、撮影には工夫が必要でした(カメラのマニュアル操作みたいなイメージです)。
時には、撮影と撮影の合間に 10 分以上の待ち時間が発生することもしばしば・・・。

開設初期、実際に使用していたシングル・マルチスライス CT!
それから時が経ち、動物医療における CT 検査のニーズが高まったことや医療技術の進歩があり、少しず
つスペックの高い機器を導入し、今では以前のような工夫をせずとも高画質・高精細な画像を撮ることが
可能です(撮影範囲を手動で決めてポチッとするだけ、というイメージ)。
待ち時間なんて滅多にないです!

2020 年に当社で導入した CT 機器です。
80 列マルチスライス CT/心電図同期あり、管球は 7.5MHU!


横断像だけを見比べるとそこまで大きな差は感じられないかもしれませんが、MPR 表示で画像を拡大するとその差は歴然です!
操作 PC の能力も 20 年前とは桁違いで、撮影後の画像構成も一瞬になりました。
<新旧比較>
⚫ 被ばく線量が低減
⚫ 高精細・高画質の画像が広範囲で撮影可能=微細な病変評価の精度向上
⚫ 短時間で繰り返しの撮影が可能=インスリノーマ疑い症例の精度向上
▶「インスリノーマと戦うために」の過去のコラム記事はこちら
⚫ 呼吸止めの時間が従来の 2/3 程度=重度呼吸器症状症例の負担低減、画質向上
⚫ 心電図同期ができる=心臓およびその周囲の画質向上・診断精度の向上
⚫ 緊急症例の判断にかかる時間短縮
CT:MRI 検査の割合
この数年、日々の診療において CT 検査が必要なケースは増えてきていると思います。過去 10 年において、当社で検査を行った CT:MRI の比率を見ても MRI 検査がわずかに減少しているに対して CT 検査は微増しており、私たちも実感しています。

とはいえ、CT 検査をしたくてもできないケースも少なくないと感じています。様々な理由がありますが、全身麻酔は大きなハードルの一つではないでしょうか。治療ではなく、検査のための全身麻酔に快く「お願いします!」とは言っていただけないこともあるでしょう。
そこで当社では、「麻酔をせずに CT 検査ができないか?」という先生からのご要望にお応えすべく、数年前から『無麻酔 CT 検査』を積極的に行っています。『無麻酔 CT 検査』には様々な方法がありますが、当社では「谷浦式 CT ポジショナー」を使用しています。
キャミック症例紹介
【当社実例】
①11 歳7 ヶ月 チワワ 肝臓腫瘤の精査/飼主さん希望で無麻酔 CT 検査
②14歳 ネコ 最近声が出なくなった・レントゲンにて喉頭に腫瘤あり
③14 歳 ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア/飼主さん希望で無麻酔 CT 検査
▶「ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリアの肺線維症」の過去のコラム記事はこちら
当社で行っている無麻酔 CT 検査の感想はいかがですか。「意外と見える」「やっぱり麻酔下の方がいい」「選択肢の一つにはなるかな」など賛否あると思います。
現在、当社では 10kg 未満の犬猫であれば、麻酔ハイリスク症例や麻酔が理由で飼主さまの同意が得られない症例などに無麻酔 CT 検査を実施しています。無麻酔 CT 検査では、専用プロトコルを用いて造影検査も行い、診断精度の向上に努めています(参考までにこれまでに実績を下表にまとめました)。
ちなみに現時点で MRI 検査を無麻酔で行うことは大変困難ですが、将来 CT 検査だけでなく、MRI 検査も無麻酔でできる時代が来るかもしれません・・・?
私たちも固定観念や思い込みにとらわれず、一歩一歩新たなことにチャレンジし、先生たちの診断の一助となる様日々精進していきたいと思います。
<過去症例>
