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キャミックメールマガジンVol.23(2023年5月号)

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キャミックメールマガジンVol.23
  \\2023年5月号//
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▼目次▼
【1】医療コラム「脊髄梗塞」
【2】症例報告「頚部脊髄梗塞」「腰部脊髄梗塞」
【3】フォローアップ期間延長について
【4】脳ドック検査承り中
【5】犬猫のてんかん発作とMRI検査のはなし

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┃【1】医療コラム
┃ 「脊髄梗塞」
┃ https://camic.jp/column/23_202305/
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前回、椎間板ヘルニアについて紹介させていただきましたが、今回は急性の脊髄障害で遭遇する機会の多い脊髄梗塞について紹介させていただきます。
脊髄の血管分布を以下に示します。

脊髄梗塞は脊髄の血管が障害されて起こり、線維軟骨塞栓症(fibrocartilaginous embolism:FCE)が最も一般的な原因として知られています。原因としては他にも血栓症や腫瘍による塞栓、寄生虫等の血管迷入がありますが稀な事象です。
犬の場合若齢から中齢の発症が多く、猫の場合は中齢から高齢で多いとされています。

症状は梗塞を起こした部位と範囲で変わり、単肢や片側前後肢の跛行、不全麻痺や数時間から1日で麻痺へ進行するケース、発症直後から麻痺となるケースと様々です。

好発部位は報告によって異なりますが、脊髄第2分節(C6-T2)、3分節(T3-L3)、4分節(L4-S3)が多く、猫では頚部での発生が多いと報告されています。

MRIでは、T2強調画像で片側および両側性の斑状やびまん性の高信号域が見られます。この信号強度変化は梗塞巣に浮腫を含んでいることもあり、実際の梗塞巣より広範囲に見られることもあります。また、T1強調画像では周囲との信号強度変化はあまり顕著ではありません。ガドリニウムでの造影増強は様々であまり典型例はありません。

急性の梗塞を起こしている場合には拡散強調画像が有用であることがあります。
急性期(発症-7日)では、拡散強調画像で高信号、ADC-mapで拡散低下を示す(周囲より黒い)所見が見られた場合には梗塞である可能性が高くなります。

もちろん、犬猫の脊髄は細く対象が小さいことから拡散強調画像での評価が難しいこともありますので、症状や経過と総合的に評価することは基本事項として考えなければなりません。

拡散強調画像については前投稿のものも参考にしてみてください。
(拡散強調画像の回 https://camic.jp/column/18_202212/)。

https://camic.jp/column/23_202305/
□執筆:画像診断本部 森(獣医師)

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┃【2】症例報告
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=== 症例1 頚部脊髄梗塞 ===

□症例:雑種猫 去勢雄 11歳 5.44kg

□主訴:1週間前、急性の左前肢不全麻痺となり、左片側不全麻痺となった。同日夕方から四肢の不全麻痺へと進行し、排尿障害を呈するようになった。

□神経学的検査:
姿勢:横臥
歩様:四肢不全麻痺
姿勢反応:四肢低下(特に左側で顕著)
脊髄反射:左橈側手根伸筋反射 低下
→意識状態および脳神経検査にて異常がないことから脊髄第1分節および第2分節の病変が疑われた。

□画像所見(発症から7日後に撮像):
C5からT5椎体レベルの脊髄はT2強調画像で高信号を示している。C6からT1椎体レベルでは、信号強度変化の左右差、造影増強があり、拡散強調画像で高信号、ADC-mapで拡散低下が示唆されることから急性期の脊髄梗塞が疑われた(この症例は梗塞に併せて浮腫の併発もあると考えられました)。

□予後:検査後4ヶ月では四肢の動きはよくなったようだが、完全に回復は見られず、排尿障害も残存しているとのこと。

▽症例詳細・画像・所見画像はこちらから
https://camic.jp/inspection_case/202305_mc_11y

=== 症例2 腰部脊髄梗塞 ===

□症例:甲斐犬 未去勢雄 8歳 17.6kg

□主訴:突然鳴いた後から両後肢不全麻痺となった

□神経学的検査:
姿勢:座位
歩様:両後肢不全麻痺
姿勢反応:両側後肢低下から消失(左右差なし)
脊髄反射:両側膝蓋腱反射 正常から亢進  両側後肢引っ込め反射 消失から低下
→脊髄第3分節および第4分節の病変が疑われた。

□画像所見(発症から約18時間後に撮像):
L4椎体レベルの脊髄左側にT2強調画像で高信号を示し、僅かに増強効果を示す所見が見られる。
拡散強調画像で高信号、ADC-mapで拡散低下が示唆されることから急性期の脊髄梗塞が疑われた。

□予後:無治療にて経過観察し、発症後10日でふらつきながらも歩行可能になった。
その後、左後肢の姿勢反応低下はやや残るものの通常通りの歩様になった。

▽症例詳細・画像・所見画像はこちらから
https://camic.jp/inspection_case/202305_kai

□執筆:画像診断本部 森(獣医師)

▽その他、CT編・MRI編の記事はこちらから
https://camic.jp/column/

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MRIフォローアップ検査
期間延長について
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2023年6月1日以降に実施したMRI検査について、フォローアップ検査の対象期間を
半年間から1年間へ延長いたします。

□■MRIフォローアップ検査とは■□
当センターのMRI検査を受けられた方が、前回に見つかった「病変部限定」で、通常料金の半額以下でMRI検査を受ける事が可能なプログラムです。病変部の経過観察等の目的でご利用下さい。

※注意事項
・当センターでMRI検査を受けられた方限定です。
・平日限定のプログラムです。
・通常検査同様に主治医様による麻酔前検査は必須です。
・通常検査1回につき1度のMRIフォローアップ検査がご利用可能です。

▽詳細はこちらから
https://camic.jp/news/2305followup/

┌───────[ New ]────────┐

   脳ドック検査
   2023年5月1日 提供開始
  https://camic.jp/news/braindock2304/

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脳ドックとは頭部MRI検査を行い、脳の異常を発見するための健康診断です。
症状が出る前の初期腫瘍性病変や微小な出血病変などを手遅れになる前に早期発見し、早期治療あるいは予防に結び付けることを目的としています。
健康診断の一環として、ぜひ飼い主様にご紹介ください。

□検査料金:74,800円(税込)
※検査料金に含まれる内容:MRI検査費用(麻酔・読影含む)+造影検査+酸素室利用+点滴処置
※各施設 平日限定のサービスです。3施設共通の料金です。
※体重に関わらず料金は一律です。
※脳脊髄液検査は含まれません。

〈条件等〉
・直近2年間でけいれん発作・前庭症状などの脳疾患を疑う症状を呈したことがない犬・猫が対象です。
・外耳炎・中耳炎・クッシング症候群を疑う症例は脳ドックの対象外です。
・一般状態把握のため、通常検査時と同様に、撮影前には血液検査・胸部レントゲン検査の結果提供をお願いしております。
・ 本サービスはフィルムの発行はございません。フィルム発行を希望される場合は、別途費用を申し受けます。
・ 脳ドック受診時に病変が見つかった場合、1年間はフォローアップ検査をご利用いただけます。(1回限り)

▼チラシのダウンロードはこちら 4.4MB

(クリックするとPCにデータがダウンロードされます。)
https://info.camic.jp/public/file/document/download/694

◆◇◆━━━━━━━━━━━━◆◇◆
飼い主さま向け小冊子
「犬猫のてんかん発作とMRI検査のはなし」
を作成しました

https://camic.jp/news/epilepsy202304/
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動物検診センターキャミックでは、てんかん発作に対するMRI検査の有用性について、飼い主さまにも理解を深めて頂くために、日本獣医生命科学大学・当センター学術顧問でもございます長谷川大輔教授のご協力により、てんかん発作啓発パンフレット「犬猫のてんかん発作とMRI検査のはなし」を作成いたしました。

家族の一員であるワンちゃん・ネコちゃんにてんかん発作が見られた場合どう対応したら良いのか、どのように診断を進めていくのか、どういう原因があるのか、当センターで実施した検査の統計データをふまえながら解説いただきました。

▼小冊子を院内で配布頂く為に追加の送付を承っております。
 ご希望の方は以下のURLより希望部数をお申し込みください。
https://camic.jp/pamphlet/

▼閲覧・ダウンロードはこちら(PDF形式・A5サイズ・見開き・9.5MB)
https://info.camic.jp/public/file/document/download/727

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◆飼い主さま向けのパンフレットをご希望の方はこちらからお申し込みください。
https://camic.jp/pamphlet/

◆動物検診センターキャミックのご案内・無麻酔CT検査のご案内動画
https://camic.jp/movie/

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