医療コラム
MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。
細胞診検査のご紹介
7月よりキャミック城北(中浦和)にて細胞診検査を開始いたしました。
開始当初よりご依頼、お問い合わせありがとうございます。
一度の麻酔で、もう一歩進んだ診断のお手伝いができるよう日々奮闘しています。
▲【超音波画像】猫 肺FNA 肉芽腫性炎症
▲【CT画像】肉芽腫性炎症
今回は細胞診のおすすめ度について
画像検査センターという特徴を活かし、CTの診断能力とも併せて検討します。
予約時に!インフォームドコンセントに!ご活用ください。
こんな時におすすめです
〈肝臓〉
肝臓腫瘤は細胞診を希望されることが多いですが(単純に症例が多いからかもしれません)、CTでの診断精度が高く、意外とお勧め度は低いです。
また、犬の肝細胞癌は高分化型が多いため細胞診を行ったとしても肝細胞癌であるか結節性過形成であるか判断がつかないことが多いです。
そしてそれが全体の8割以上を占めます。
しかし、肝細胞増殖性病変(肝細胞癌、肝細胞腺腫、結節性過形成)以外の病変が疑われた場合、細胞診を強く強くお勧めしたいです。
具体的には多発病変、肉腫やリンパ腫の可能性、転移を疑うCT所見が得られた場合です。
猫の肝臓はお勧めですが、稀に出血することがあるため注意深く実施する必要があります。
〈脾臓〉
脾臓は比較的切除されることが多いので、腫瘤は病理組織検査になることが多いかもしれませんが、びまん性腫大はお勧めです!
脾臓つながりで、血管肉腫は画像で非常に特徴的です。その為C Tで概ね分かりますが、既に転移していることが多い為、細胞診の情報があると抗がん剤への流れがスムーズに決まります。私的には非常にお勧めです。
〈腎臓〉
腎臓は良性腫瘍が少なく、腎細胞癌、移行上皮癌、リンパ腫が多いですが、年齢や腎機能によっては外科切除を悩まれるケースが多いのではないでしょうか?
またリンパ腫だったら化学療法を選択したい!という事で、細胞診自体はお勧めですが、出血が多い臓器なのでリスクの話を少ししなければなりません。慎重に慎重を重ねて、凝固検査と出血確認を行なっています。
〈副腎〉
副腎腫瘤に対しての細胞診検査は、皮質VS髄質腫瘍の鑑別はできますが、良悪の判断はなかなか難しいとされています。また褐色細胞腫であった場合、カテコールアミンの過剰分泌を促してしまう可能性があり、F N Aはお勧めできません。
しかし!C T診断は大得意ですので細胞診が必要になる事はあまりないかもしれませんね。個人的には出血するリスクは高い臓器と考えています。
稀ですが、副腎腺癌、腺腫、褐色細胞腫に合致しない画像所見が認められた場合、細胞診を検討する必要があります。
〈膵臓〉
膵臓は動物種や疑っている病気でお勧め度が異なります。
犬は明らかな腫瘤形成がなくとも、悪性腫瘍であることがあります。犬の膵癌こそCTとFNAをセットで行うメリットがあるかもしれません。
でもインスリノーマは臨床検査データありきですので、細胞診は必ずしも重要ではないかもしれないですね。
〈肺〉
肺野の細胞診は疑われてる疾患や動物種により異なります。
犬は組織球性肉腫が疑われた場合化学療法が治療の選択肢に入るため細胞診が推奨されます。『孤立性の肺腺癌疑い、リンパ節転移なし」では肺葉切除するケースが多いと思いますので、お勧め度はそれほど高くないです。
猫の肺癌はすでに転移していることが多いですが、炎症性疾患のこともあり細胞診がお勧めです。気胸には十分注意して行っていますが、猫の肺癌は筋肉転移が見つかることもありますので、その場合は安全に体表から細胞診を実施し、悪性腫瘍を証明する事もオススメです。
〈甲状腺〉
腫大したリンパ節はお勧めですが、甲状腺は画像の情報が強いのでお勧め度は低いです。
しかし、これは動物の背景、オーナーの背景、先生の背景で一気に変わってくる内容です。私たちはそれを一つも知らずに向き合いますので、ぜひ教えてください。ご希望に近い形を取れるよう善処します。
因みに私個人としては、確定診断を下すことは動物だけでなく、関わる人全てを楽にしてくれると信じています。なので、転移が沢山見つかった症例でも病理結果は必要だと、そして次の診断につなげたいと願っています。
先生のお考えもぜひ聞かせください。
症例紹介
膵癌転移
▲【超音波画像】膵癌転移
〈F N A〉腹膜播種結節より 上皮性悪性腫瘍の転移 画像は膵臓右葉を右葉端方向へ
▲【CT画像】
〈画像所見〉膵臓右葉の膵癌及び腹膜、肝臓、リンパ節、副腎への転移疑い
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