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療コラム

MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。

CT基礎知識〜CT値・WW・WL・MPR・MIP〜

執筆:画像診断本部 本部長 伊藤 泰毅(獣医師)

キャミックで検査を行った症例にはもれなく所見書やフィルムと一緒に画像データ(DVD-R)をお渡ししています。

このデータはDICOM(Degital Imaging and Communications in Medicine)という規格のデータで専用のDICOM viewer(ソフトウェア)がないとパソコンで見ることはできません。

その為、実際にパソコンに読み込んで画像をご覧になっている先生は多くないかもしれません。また「画像の見方がよくわからないから」という理由でデータを見ていない先生もいるかと思います。

そこで今回から数回に分けて、CT/MRI画像の基本的な見方をご紹介していきたいと思います。

画像を「診る」のには相応の知識や経験が必要ですが、ちょっとしたポイントを押さえれば「見る」ことはそんなに難しくはないと思います。同時にCT/MRI症例紹介も行いますので合わせてご覧ください。

CTの基礎

①CT値:水を「0」、空気を「-1,000」とし、X線吸収率を数値化したもの。

②ウィンドウ値:WW(window wide)とWL(window level)の2つの数値がある。パソコンで画像を見る際は見たい部位によって適切なウィンドウ値を選ぶ。

③raw data(ローデータ):“生データ”とも言い何も手を加えられていない最初のデータ。画像として見ることはできない。

④Reconstruction(リコン):画像再構成のこと。Raw dataをリコンし画像として見えるようにする処理のこと。リコンするときは「軟部条件」や「肺条件」「骨条件」など見たい部位に応じてリコン条件を設定する。

⑤画像の表示方法
●MPR Multi-Planar Reconstruction:多断面再構成。パソコンで画像を見るときには比較的よく使う。任意の断面をみる方法。
●ボリュームレンダリング:いわゆる3D画像のこと。
●MIP Maximum Intensity Projection最大値投影処理。任意の厚さの断面において最大値を描出する方法。奥行きのあるような画像表示で血管を強調した時などに用いる。

症例画像

腹膜横隔膜心嚢膜ヘルニア

【腹膜横隔膜心嚢膜ヘルニア 雑種猫/6ヶ月】

去勢手術前のレントゲン検査で肺の異常を認め、当施設にてCT検査を行う。

CT画像

ウィンドウ値の違いによる比較

CT画像(MPR画像)

横断像だけでは評価しにくい「血管走行」や「周囲臓器との位置」などをより正確に見える。

CT画像(ボリュームレンダリング)

手術計画を立てる時やインフォームドコンセントに便利

▽詳しい症例報告はこちらからご覧いただけます

雑種猫 未去勢雄・6ヶ月・4.2kg