医療コラム
MRI/CT検査・画像診断に関して、日常の診察や検査ご予約時にお役立ていただける医療情報をお届けします。
【創業20周年 特別連載コラム〜第6回〜】心電図同期 CT ~今日もまた循環器疾患にやられる~
2019年一つの新しい依頼が来ました。再生医療の研究をしている大学病院から・・・
“ 心臓周囲の再生血管の様子を知りたいので、実験動物の心臓を撮影してくれませんか?? ”
心臓は拍動により絶えず動いているのでCTでは細かい評価が難しい臓器でした。
人では心電図同期CTやMRIでも心臓の評価をしているぞというのが、当時私が得た情報で、そこからまた自治医科大学大学病院での情報収集を始めました。
診断可能な病気について、撮影方法について、読影方法について等々。
循環器疾患の知識に明るくない私には、なかなか大変な作業でした。

結局色々準備しましたが、当時この依頼は受けることはできませんでした。
というのも、当時の当社CTでは心電図同期CTが撮影できなかったんです。
心電図同期CTの導入
駄々をこねたのが効いたのか?笑
2020年3月キャミック城南に心電図同期CTを導入することが出来ました!
さらに2022年2月にはキャミック城北にも同機能を搭載したCTを導入しました!!
という訳で、最初に依頼のあった大学病院からの依頼も2021年に無事完遂しました。

心電図同期CTの仕組みをご紹介したいと思います。
動物は人より心拍が多いので、多くの施設でこの方法で撮影されています。

撮影範囲を複数心拍分連続で撮影します。心拍数により撮影時間は異なりますが、通常より長くじっくり撮影します。
次に撮影したデータのうち、上記心電図の黄色帯のところだけ使用し、心臓やその周囲を構成していきます。黄色で示しした領域は拡張期に相当し、再構成すると拡張期の心臓の出来上がりです。データ収集のタイミングを変えると収縮期の心臓も構成できるわけです。
心電図同期CTを用いた診断疾患
現在当社で対応している心電図同期CTを用いた診断疾患は3パターンあります。
➀ 心臓に隣接する結節病変(肺腫瘍や転移)
➁ 心基底部や心臓、縦隔に腫瘤形成がある疾患
➂ 心奇形や心臓外血管奇形
➀ は心電図同期CTでなくとも診断可能ですが、判断がより正確になるので使用します。
➁ は血管の巻き込みなどを評価するためには非常に有用です。
そして
➂ は心電図同期CTなしには語れない疾患です。
どれくらい微細構造が分かるか、お示ししたいと思います。
➀ 肺野/右中葉の濃度上昇が心臓と近接していて、腫瘤かどうかはっきりしなかった時!
十分な吸気状態で心電図同期すると一目瞭然です。
本症例は前縦隔に腫瘤形成があり、肺に転移がないかどうかはっきりさせる必要がありました。
中葉腹側は線維化を疑う網目状陰影でした。
➁ ボストンテリア、12歳、大動脈小体腫瘍疑いです。
腫瘍の発生場所や大血管、心臓への浸潤の評価に有用です。
(左)造影後45秒 拡張期 (右)造影後15秒 拡張期
➂ 最後に、3歳、M.シュナウザー 非常に小さい頃に動脈管開存症の手術を1度されている症例でした。
現在もわずかに逆流している疑いがあり、検査しました。

開存している血管径は約1.5mmでした。
ここ数年心奇形の依頼が少しずつ増えています。
心臓自体の奇形のこともありますが、心臓外血管に異常な短絡や欠損があり循環に問題が出る場合もあります。
動物は人よりずっと心拍数が多いですし、何より心臓が小さいです。
情報が少なく、奇形の種類も様々で混在します。麻酔リスクも幅も広く、やってみないとわからない事がよくあります。
ですが解決した時の喜びはこちらも同じです。
かなり消耗する検査ではありますが、可能な限り受けていきたいと思っています。
動物の種類や年齢によっては、CT機械の向き不向きもありますので、心奇形については一度事前にご相談ください。