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ールマガジン

キャミックメールマガジンVol.02(2021年8月号)

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キャミックメールマガジンVol.02
2021年8月号
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▼目次▼
【1】医療コラム「CT値とは」
【2】症例報告「平滑筋腫」
【3】セミナー開催のご案内(日本大学 枝村教授)
「日常よく遭遇する歩行異常の診断とCTやMRIの使いどころ」
【4】お知らせ

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┃【1】医療コラム「CT値とは
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先月は、基礎的な用語説明をしました。
今月は、“CT値”について、もう少し詳しくお話しします。

先月「CT値とは水を0、空気を-1000とし、X線吸収率を数値化したもの」と説明しました。実際の臓器ではどうなのでしょうか?

それぞれの臓器は、正常ではだいたい決まったCT値を呈します(表)。

骨皮質は1000HU前後、肺(吸気)は-900HU前後、多くの軟部組織(実質臓器や管腔臓器の壁)や血管内は30〜60HU、肝臓や脾臓はやや高くて50〜70HU、脂肪組織はかなり低くて-120〜-130といった具合です。

甲状腺は特殊で、内部にヨードを含むため、正常で100〜120HUほどの高いCT値を示します。

CT値が正常と大きく異なっていれば、病的変化を疑います。

例えば、肝臓のCT値がびまん性に低値(CT値40HU以下)を呈すると、脂肪肝の可能性があります。

肝臓の中に周囲の実質と異なるCT値の腫瘤性病変があったとして、そのCT値が30〜70HUくらいなら充実性(軟部組織陰影すなわち腫瘍や過形成等)、CT値が水に近い10〜20HUほどの場合は嚢胞(液体貯留)を疑います。

胆嚢/胆管や腎盂/尿管/膀胱内の結石は、X線写真同様に不透過性の粒状影(CT値は100HU以上)ですが、CT検査ではより小さいものが、より正確な位置で把握できます。

もちろん、CT値だけでは判断できません。正常な臓器では、形が整っていて、辺縁がスムーズであり、CT値が均一である、というのも大事な特徴ですので、病変の形や拡がり、数、CT値のむら(不均一さ)等も合わせて考えます。

そして、CT検査で大きな威力を発揮するのが、造影剤投与後の変化ですが、今後のコラムにバトンタッチいたします。

□執筆:キャミック練馬センター長(獣医師) 大西 ゆみ

▽参照画像はこちらのURLよりご確認いただけます。

CT基礎知識〜CT値〜

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┃【2】症例報告「平滑筋腫」
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腹腔内腫瘤を主訴にCT検査を依頼される際、時々、非常に重度の低血糖を呈する症例を経験します。

低血糖の鑑別には多くの疾患が挙げられますが、腫瘍に関連する疾患としては、主にインスリノーマと膵外腫瘍の2つが挙げられ、キャミックでもインスリノーマの症例を比較的多く経験します。膵外腫瘍では、巨大な腫瘍による消費の亢進(肝細胞癌やリンパ腫など)と、インスリン様物質を産生する腫瘍に分けられます。

【症例】ビーグル 去勢雄 11歳 体重8.26kg

【主訴】低血糖、腹部腫瘤

【経過】

1ヶ月前から徐々に悪化するふらつき、徐々に悪化。
血液検査で重度の低血糖(30m/dl前後)、腹部超音波検査にて上腹部に巨大な腫瘤を認めた。

【画像所見】

上腹部右寄りに最大径:約11.2×11.1×7.1(体軸×横幅×高さ)㎝の歪な軟部組織陰影の腫瘤(CT値50〜80HU、CT値100〜300HUの石灰化を伴う)を認め、腫瘍を疑った。

周囲で多くの臓器(膵臓、胃、十二指腸、小腸、盲腸~上行/横行結腸、肝臓外側左葉、腹壁など)に密に接するが(癒着の可能性がある)、それら臓器との連続性は指摘できず、由来不明であった。

▷CT画像データはこちらからご覧いただけます

【その後の経過】

主治医のもとで開腹、幽門部からの発生が確認され、摘出された。粘膜、粘膜下織は残して切除できたとのこと。膵臓右葉と癒着しており一部切除した。術後低血糖は改善された。

【病理】胃平滑筋腫

【担当者コメント】

画像診断を始めて10年以上経ちましたが、毎週の様に新しい発見があります。

今回の症例も、疑わしいと思いながらも由来部位を強く指摘できませんでした。

また、何度も平滑筋腫は見てきましたが、今回のように、インスリン様成長因子を分泌するケースは初めてです。
一生勉強だと言い聞かせながら、今日も頑張ります。

依頼病院の先生からの結果を教えていただく事で、私たちの検査は完了します。
いつもたくさんの情報をありがとうございます。

□担当獣医師・執筆:キャミック練馬センター長(獣医師) 大西 ゆみ

▽検査画像や詳細は下記のURLよりご覧いただけます。

ビーグル 去勢雄・11歳・体重8.26kg

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【3】オンラインセミナー開催のご案内
『日常よく遭遇する歩行異常の診断とCTやMRIの使いどころ
〜正確な診断をするための手順を習得しよう〜』
(日本大学 枝村教授)
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セミナー動画配信期間:2021年9月1日(水)から9月30日(木)

▽セミナー詳細・お申し込みはこちら

日常よく遭遇する歩行異常の診断とCTやMRIの使いどころ

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【4】お知らせ/ご案内
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動物検診センターキャミックでは、新型コロナウイルス感染症の現況を踏まえ、
感染予防・拡大防止の観点から
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ご不便をおかけいたしますが、ご理解とご了承の程、よろしくお願いいたします。
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